主機関 海&陸送

MAN Energy Solutions welcomes new research engine to Copenhagen

動画はコペンハーゲン / MAN ENERGY AND SOLUTION に新しいテストエンジン (4X50ME-X9.7)が 台船で運ばれ、そして陸送されている珍しい動画です。
途中、コペンハーゲン中心にある可動橋のKnippels Bridgeが跳ね上がっている珍しい映像もあります。あの可動橋は現役だったのですね。何度か実際に渡ったことはあります。

アンモニア燃焼テストエンジン?

通常MAN ENERGY AND SOLUTION製主機関の型番は、例) 6G50ME-C9.5と表現されます。動画のエンジンはテストエンジンになるので、型番に”X”が付されています。Xシリーズ、かっこ良いですね。

上記動画は、ダイジェスト版ですが、フルバージョン動画の中でMAN Energy And Solutionの技術者が、さらっとこのエンジンはアンモニア燃焼の実証実験に使われると言っています。次世代燃料の第一候補はアンモニア!?

EEOIおさらい

先日、船から排出される排気ガスの環境負荷を定量的に計測するためにEEOIを用いているとお話ししました。

上記式のCFJはConversion Factorで消費燃料量に乗算すると、二酸化炭素排出量になります。

なぜアンモニア (NH3)?

アンモニアの化学式は、NH3ですよね。よく見るとなんと炭素がありません。ということは、アンモニアが燃焼する際は、温暖化ガスのCO2は排出しない事になります。

アンモニア燃焼時の化学式
“4NH3+3O2 → 2N2+6H2O “

排気ガスは窒素と水(水蒸気)だけです。改めて見るとすごいですね。
完全燃焼した際の燃焼反応式なので、ディーゼルエンジンでの燃焼では、窒素酸化物(NOx)が発生しますが、すでに脱硝装置は実用化されており、NOx は十分に下げることが可能です。
アンモニアは夢の燃料になりうる?

アンモニアの課題

夢の燃料アンモニアですが、現在の主たるアンモニア合成方法は、大量のエネルギーを投入し合成するハーバーボッシュ法です。燃料を作るために、エネルギーを大量投入していたら、本末転倒ですよね。
だがしかし、東京大学のプレスリリースに”モリブデン触媒を用いた常温常圧におけるアンモニア合成に成功”とあります。もしこの技術が低コストで実用化されれば、アンモニアは夢の燃料と言えるかもしれません。

その他のアンモニア燃料の課題は①腐食性と②毒性ですが、すでに解決済み!
①腐食性
金属材料で対応可能、すでに克服 (コストは?ですが・・・)
②毒性
すでに毒性のMethanol (メチルアルコール)を燃料とする機関が開発、実用化されているので、毒性に対する安全性もクリア

鼻にツーンとくるアンモニアですが、近い将来は船を進めるエネルギー源になりそうですね。

Youtube 出演

実は、わたくし”ちらっと”MAN Energy And SolutionのYouTubeに出演したことがあります。新エンジン発表会に参加する機会があり、その際インタビューされました。突然の英語のインタビューで何を言っていいかもわからず、適当にしゃべりましたが、なぜか採用されていました。はずかしい・・・
以下に、埋め込んでおきますので、興味のある方は、筆者を探してみてください。

LGIP market launch

OLD DIESEL 4 / B&W 初号機

Burmeister & Wain

Burmeister & Wain はCopenhagenに本社を置き、造船所兼Diesel Engine Makerとして、1865年に設立されています。 頭文字のB&Wを冠としてDiesel Engineの機種名に用いていました。
B&W 社のロゴです。カッコいいですね。

その後は、MAN 社と合併して、有名なMAN B&W Diesel Group となり、舶用大型2ストロークDiesel 機関の85%のシェアを占める巨大ライセンサーとなりました。
現在の社名はMAN ENERGY AND SOLUTION であり、B&W も Diesel の文字も消えてしまいました。
以前MAN社Copenhagenのエンジニアと話す機会があり、屋号から、Diesel も B&Wも消えてしまったことは、悔しまれると、話を聞きました。”Diesel = 悪”というイメージが一般市民に根付いてしまったことが原因だそうです。

今後CO2 / NOx排出削減の観点からは、小型 / 小出力のパワーユニットとしてはDiesel エンジンは消えていく運命かもしれませんが、大型 / 大出力の舶用機関としては、当面は2元燃料化等の技術革新を取り入れながら、使用せざるを得ないのが現状です。もし、大型商船が100%バッテリーや燃料電池で航海できるようになれば、遠隔操船および完全自動化されたメンテナンスフリーの機関室となり、我々船乗りの必要性はなくなってしまいますね。港に帰ってきた船に訪船して、異常の無いことを確認すればOKなのかな?

B&W Nr.1

タイトルにもある、B&Wの初号機になります。新しい技術に触れることも非常に大事ですが、やはり温故知新も忘れてはいけませんね。OLD DIESEL 3で紹介した、B&W 2000が動態保存されている、Diesel Houseでは、B&W社の初号機も動態保存されています。
動画ご覧ください、可愛らしい単気筒エンジンですね。運転音 (Diesel Noise)も心地よい回転数で、なんだかリズミカルに聞こえますね。仕様等説明名板メモしていたのですが、メモをなくしてしまいました。今回は、動画の公開のみでご勘弁ください。

動画編集

動画編集ですが、最初はAdobe の Premiere Rushを試みましたが、動画書き出しでエラーが発生、いろいろと試してみましたが、改善せず。今回VideoPadを使って編集しました。(編集というほどでもありませんが)
VideoPadの素晴らしいところは個人利用の場合は無料であることです。感謝です。
動画ですが、720 X 1200のサイズで書き出してしまったので、パソコンよりブラウザで見る際は、環境によっては上下が切れてしまうかも。ブラウザの縮小表示機能使ってみてください。携帯ではスムーズに表示されていること確認しました。

もうそろそろ、ブログネタが尽きそうです。

OLD DIESEL 3 / Double-Acting Cylinders

Double Acting ?

Double Acting Cylinder、和訳は複動式シリンダ、なんだか聞きなれない言葉ですね。今現在はSingle Acting Cylinder、単動式機式シリンダが圧倒的に多く、改めて単動式2サイクルディーゼル機関と記載することはあまりありません。 ただし、造船所の建造仕様書の主機関仕様には今も以下のような記載があります。
“One (1) Set of “機種名”, two cycle, single acting, cross head, electronically controlled marine diesel engine equipped with exhaust gas turbo-charger”

複動式機関が第一線で活躍していた時期は、戦前になります。
しかし戦時中に機関の信頼性や、複動式構造が複雑ゆえに、単動式にとってかわられました。

では、なぜ複動式機関が開発されたかというと、黎明期のディーゼルエンジンは材料強度や高性能大型過給機が存在しなかった等の背景により、シリンダ内の爆発 / 膨張圧力を増して馬力を増大することができず、また大型商船の主機関では、回転数を上げて馬力を増大すると、大型プロペラは低速で回す必要があるので、大型減速機が必要になる等問題があり、複動式機関が開発されたと推測しています。
(もし、文献等ありましたらご教授ください)

ディーゼル機関の馬力

まずは、ディーゼルエンジンの馬力算出の解説です。
内燃機関の図示馬力の計算式は以下の通りです。
図示馬力(IHP / Pi)とは、シリンダ内の噴射燃料の爆発 / 膨張で発生した仕事量を表します。

機関の軸端 (フライホイール)での馬力は、ディーゼル機関の場合は制動馬力(BHP)と言います。図示馬力と制動馬力の関係は、今回の解説で必要ないので、割愛します。

余談ですが、学生時、上記式とパラメーターの順序と頭文字が違う式で、”ぺらんき”の式とおぼえていました(笑)命名者は同級生で今現在は、エネゴリ君系の船会社で働いています。

  1. 平均有効圧力 : Pmi
    平均有効圧力はシリンダ内の爆発膨張時にピストンを押し下げる力と思ってください。今現在の機関は約1.8Mpa程度、戦前の機関は0.8Mpa程度と大きな差があります。計算では、平均有効圧力だけで、今現在は戦前に比べ2.25倍の出力になっていますね。
  2. Fixed Number / 定数 : i
    この定数が今回のお話の”ミソ”です。
    4サイクル単動エンジン : 1/2
    2サイクル単動エンジン : 1
    2サイクル複動エンジン : 2

    ということは、定数(i)で複動エンジンは2となるので、他パラメーターが同一の2サイクル単動エンジンの2倍の馬力となることがわかります。詳しい説明は後ほど。
    (定数を2とするには、前提条件として、複動式機関のピストン上下で発生する仕事量が同一である必要がありますので、厳密には2にはならないと思います。今回は複動式機関を簡単に理解するために、2としました )
  3. A, S, n,k
    各数字は以下の通りです。特に難しい数字はありません。
    A : ピストン面積
    S : ピストンストローク : 今現在も長工程化が進んでいる
    n : 回転数
    k : シリンダ数

B&W2000

挿絵は、コペンハーゲンのDiesel Houseで頂戴した絵になります。やっぱり手書きのエンジンカッコいいですね。

よく絵を見ていただくと、なぜかピストンの下部で爆発していますね。すなわち複動 とはピストンの上下で爆発 / 膨張をすることを差し、馬力の式で係数 “i”が2になっている理由になります。
爆発回数、すなわち燃料噴射回数を増やして、馬力を稼いでいました。

紹介した複動式2サイクル大型機関ですが、動態保存されています。
1933年に建造され、現在は上述のDiesel House(博物館)で動態保存展示されております。下に運転時の動画掲載いたします。

B&W2000ですが、1960年代の後半まで発電機用機関として運転されていました。ディーゼルエンジンの起動性、停止性を生かして、朝や夕方の電力需要がひっ迫する時間帯に運転されていました。

今回は、今は姿を消した複動式ディーゼル機関に関して、振り返ってみました。
最新機関の説明もしてみたいですが、著作フリーの素材が無く、結構ハードルが高いです。最近のディーゼルエンジンに関しては、香川県 / 高松市の株式会社マキタさんの企業ページが非常にわかりやすく記載されていますので、興味のある方はリンクを押してみてください。

そして今現在私が担当している舶用大型2サイクル2元燃料機関(LGIM / LGIP)は、一応最先端の舶用機関なので、情報を載せたら、まずいですね・・・・
(ゴルゴ13に消されるかもしれません > 冗談です)

海外には今回紹介した、コペンハーゲンのDiesel Houseの他、様々な都市に、Maritime Museumがあります。芸術性は?ですが、お時間があれば、是非訪れてみてはいかがでしょうか?
東京にも”船の科学館”が有明にありますが、現在は閉館中。いつの日か復活してほしいですね。

OLD DIESEL 2 / Fuel Injection

Diesel Engine 解説第二弾!今回は燃料噴射を取り上げてみようと思います。
Diesel Engineはスパークプラグは無く、ピストンで空気を圧縮し高温高圧状態となった圧縮空気に重油を噴射して、シリンダ内で自己着火、爆発させます。

空気を圧縮するとなぜ温度が上がるかというと、高校化学を思い出していただければイメージがしやすいかな?ボイルシャルルの公式おぼえていますか?

{\displaystyle P=k{\frac {T}{V}}}

気体の圧力 P は体積 V に反比例し絶対温度 T に比例する

前回のOLD DIESELで登場した挿絵です。Pistonが上がる動作は圧縮工程と言い、空気を圧縮して、高温高圧の状態にします。何度まで温度が上がっているかは、メーカさんに聞いて教えてもらおうとしましたが、企業秘密ということで教えてもらうことができませんでした。一方、重油の発火点が300℃以上なので、それ以上の高温状態になっていることは確かです。



燃料噴射は右の図を見ていただくと燃料噴射が理解しやすいかな?シリンダカバ部分の拡大図になります。赤く塗りつぶした部分が噴射された霧状の燃料です。噴射された燃料が自己着火 し、膨張した燃焼ガスがピストンを押し下げます。爆発の可視化は困難ですが、燃料噴射の可視化は以下の動画ご覧ください。動画はMAN Energy and Solutionの研修設備で撮影させていただきました。

アクリル筒内に注目してください。燃料噴射が目視できます。大体燃料の噴射圧力は、一般的に300 – 400barと非常に高圧です。
音を入れて編集したつもりでしたが、エンコードした際に私の低スペックノートPCでは音が消えてしましました。

解説っぽい事書いていますが、この記事の一番の目的は、動画公開テストになります。旧来歴補助簿での動画公開は、YouTubeを利用していましたが、今回はMy Serverに動画をアップロードしています。貧弱サーバーなので再生が”かくかく”することがあると思いますが、ご容赦ください。容量削減のため5秒も無い動画ですが、ご覧ください。

OLD DIESEL

船マニアの友人から頂いた、とある造船所のOLD Diesel Engine のBrochureがカッコよくて、ちょっと拝借いたしました。次のページが透けるように、Tracing Paperが用いられています。うーんカッコいい!!

細かい部分は今の大型2 Stroke Diesel Engineと若干違いますが 、基本形は今も変わりません。
このEngineが生産されていたのは1950年代と思われます。

ちょっとマニアックな話になりますが、掃気方法は、Cross Scavenging方式、現在主流のUniflow Scavenging 方式とは違います。Cross Scavengingなので、Exhaust Valveは無く、Cylinder Line下部に位置が若干違う掃気Portと排気Portがありますね。
また過給機(Turbo)や電動Aux Blowerは無く、Cross Headの上下動をLinkで伝えて、Scavenge pumpを動かし、掃気をCylinder内に送り込んでいます。
PistonはSkirtが長く、今のPiston形状とは大きく違いますね。Piston RodとStuffing Boxが無く、その代わりが長いPiston Skirtになります。

右は操縦Stand にです。大きいDialはTelegraphです。BridgeからEngine Roomまで、操縦指令を伝える、装置です。Selsyn Motor (Synchro Motor)の原理を利用しています。真ん中の小さいGaugeは回転計ですね。
Handle は右側が、Fuel Oil Index すなわち燃料投入量=回転数制御Handleになります。Fine Adjust(微調整)用のDialが付いています。そうなると左側は、前進<>後進切替兼Starting Air Handleですね。
大型2 Stroke 機関の前後進切替は、機関停止時、すなわち Stop Engine の状態で、Cam Shaftを切替ます。Cam Shaftを切り替えることにより、Firing Order (Cylinder 着火順序)を切り替ることにより、逆転します。例えば、
1>5>3>4>2>6の着火順序を
6>2>4>3>5>1に切り替れば逆転します
Camが定位置に切替わった後に、Cylinderに圧縮空気が投入され、規定回転数まで上がれば、燃料運転に切り替えます。

今の舶用大型2 Stroke機関は電子制御が主流で、以前は機械的(Cam Shaft)に制御していた、排気弁開閉、燃料噴射は、現在油圧を用いて直接電磁弁にて電気的にControlしています。いたるところにCPUが入った制御基板が設置され、各基板がNetworkで繋がっています。理論的には、制御Networkを衛星通信と接続すれば、家のPCからも主機関制御できてしまいます。びっくりですよね。制御に関するParameterはすべて制御用基板に記録されており、機械的な調整はほぼありません。機械式Engineの場合は、調整はEngineerの腕の見せ所だったのですが、今はTouch Panel Monitorで数値を変更するだけ、なんだか寂しい気持ちがします。

まじめな、舶用大型機関の説明になってしまいましたね。もし、続編ご希望であれば、Comment欄にお願いします。もう少し解説ネタはああります。